純・真リーディングvol.3

ゆめいろリーディングvol.1
ゆめいろリーディングvol.1

「真を、写す」

「男と女の無理ゲー」

作/保邑リュウジ
演出/獅童裕樹(純真舞台)

2023年4月7日(金)〜9日(日)

御茶ノ水KAKADO

CAST


逢坂美華
櫻田大士(ワイスプロダクション)
由良瓏砂(YScompany)
後藤瑠美
堤亮一
柏木志津子(ポランの広場)
大野祐加

あらすじ

「真を、写す」

地下アイドル・モデルの矢崎明日海は、ポートレートを撮ってくれるカメラマンを探していた時、姉の友美の知り合いのカメラマン・加山慎太郎を紹介される。
早速撮ってもらうが、どうにもフィーリングが合わない。だが、明日海も慎太郎も、「これ」という写真が撮れるまではと、何度も撮影を行う。
そんな時、慎太郎の撮った写真の明日海の隣に、海外に行った筈の友美が写っているものが発見される。次の撮影の時にも、今度は見知らぬ海外の街角に佇む友美が、明日海と一緒に写っている写真が撮影される…
写真をめぐって展開される、姉妹のパラノーマルな絆の物語。

「男と女の無理ゲー」

大手貿易会社に勤める飯島友加里は、マッチングアプリで知り合った小野道夫とやりとりする上司の佐野遥香の身代わりに、道夫と会っている。毎回話を合わせるのに四苦八苦。遥香は遥香で、いつ、どのタイミングで正体をバラそうか悩んでいる。
その道夫の正体は結婚詐欺師。「遥香」=友加里に投資話を持ちかける。一気に金を巻き上げる計画だったが、思わせぶりな友加里の態度に、次第に道夫の気持ちは揺らいでいく。
道夫の共謀者の玲子は、道夫が友加里に惹かれていくのを見て、気持ちが騒ぐ…。
男と女の、狐と狸の化かし合いの心模様を描く、悲劇的コメディ。

コメント

vol.2から僅か2ヶ月あまりで行われた、純真舞台単独主催の朗読公演第3弾。
もともとは、とある篠笛奏者とのコラボ公演として企画されたため、場所は再びライブハウスのKAKADOに戻った。その後、コラボの企画が先方のスケジュールの関係でなくなり、純然たる朗読公演になった。
今回も2話オムニバスで、出演者数は前回より1人減っている。vol.2の時に指摘された脚本の問題点を改善。極力長い心情描写等の台詞は避け、台詞の掛け合いを原則とした。また、これまでは演者は椅子に座って本を読むスタイルだったが、この公演では台詞のある役者は椅子から立って、スタンドマイクの前で本を読むやり方に変更した。これによって、台詞を喋っている演者をこれまで以上に注目しやすくなり、「誰が喋っているか分かりづらい」という問題点を解決した。
作品自体にも特別なギミックなどは仕掛けず、また時事ネタも入れず、極めてストレートで分かりやすく、適切な上演時間の物語にすることを心がけた。
その結果、ご来場いただいたお客様には、かなりのご好評をいただいた。初日、全キャストとのツーショットチェキを撮って下さったお客様がいらっしゃったり、SNSに熱いご感想を書いて下さるお客様が続出したりと、嬉しい反響があった。
出演者も、短い稽古期間ではあったが、貪欲に役に挑み、完成度を上げてくれた。「真を、写す」チームの主役・筅さんは、僕のお客様からのご紹介で出演が決まった。普段は主にライブ活動をしているのだが、声の演技でもいけるところを見せた。その姉役のみちゃこと逢坂さんはvol.1、vol.2からの連投だが、筅さんとの「美人姉妹」ぶりが話題になった。終盤の姉妹の会話(やり取り)で涙した人もいたようである。
比較的若い空気感を漂わせる「真…」とは対照的に、「無理ゲー」は全体的にオトナの雰囲気で、主役の瑠美ちゃんがオープニングで歌いだしただけで、空気がガラッと変わったのは見事だった。こちらは、「先の読めないストーリー」と言われ、全員が個性的で心情の移り変わりの表現も分かりやすく、お客様も前のめりでご覧になっているのが分かった。
座組の雰囲気もよく、最終日のマチネとソワレの間に、皆でお互いの脚本にサインを書き合っていたのが印象的だった。
いつもながらの短期決戦で、出演者は大変だったことと思うが、歌も含めて概ねいい評価をいただき、千穐楽に向かってどんどん熱が籠もった演技になっていったのが、全てを物語っているように思う。
前回以上に、集客にかなり苦戦したのが大変残念だった。配信もあったのだが、もっと会場に多くのお客様を迎えて上演したかったのが本音である。ここでいったん純真舞台としての活動が途切れる予定になっていたため、余計にその思いは強かった。
なお、KAKADOさんは、安定のスタッフ力で、音響・照明オペでも大きなミスはほぼなく、お客様、演者双方への細かい心遣いも有り難く、安心してパフォーマンスできるいい箱だなと改めて思った。

純・真リーディングvol.2
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(写真 ©松本和幸)