純・真リーディングvol.1

ゆめいろリーディングvol.1
ゆめいろリーディングvol.1

2022年9月9日〜11日
御茶ノ水KAKADO

演出/獅堂裕希(純真舞台)

CAST

天音汐那
堤亮一
えこの みぃ
後藤瑠美
逢坂美華
須田正樹
藤井志帆
小波来桜(エンタグレースターズ)
押鐘楓
足立彩佳(夜明けの佐藤)

あらすじ

「オーバー・ザ・ウォール」

(原作/よこはまさちこ 脚色/保邑リュウジ)

大学の陸上部員・香澄は、エースと言われながらも、プレッシャーに弱いことに悩んでいた。自分の中の悪いイメージを払拭できず、練習でも最後のハードルを跳べず、体育の授業では11段の跳び箱から落下して、脳震盪を起こしてしまう。また、香澄は自分に自信が持てず、自分が好きな人にも告白ができない。
そんな香澄を、同じ学年の陸上部員・愛美は優しく慰めながながら、叱咤激励する。
そして、「シャトルハードルリレー」の全国大会の日。香澄はアンカーを任されるが、トップでスタートしながら、やはりプレッシャーから、最後のハードルに躓き、倒れてしまう。何もかもに自身を失った香澄は、学校に行かれなくなってしまうが、愛美と話すことによって、自分の人生を転換し、「壁を越えよう」と一大決心をする。

「Oriental Voice」

(作/保邑リュウジ)

ラジオDJから声優に転身した弥生だが、思うように仕事が来ない。初仕事は、声優の自主制作ユニットのヴォイスドラマ出演だ。そんな弥生は、ある神社の秋祭りで、以前同じ番組でDJをしていて、今は海外で人道支援活動を行なっている悠里に出会う。悠里と話すうちに、弥生は自分に、生きている人間の魂を引き寄せて、その人に成り代わって話す「口寄せ」の能力があることを知る。
後日、弥生とヴォイスドラマの出演者・秋人ともみじは、神社の秋祭りに行く。その場で弥生は、ひょんなことから、秋人の別れた恋人・睦美を引き寄せてしまう。思いの丈をぶつける睦美(の魂)に、秋人は何も言えない。やがて、元に戻った弥生に、秋人は「今日だけ睦美になって欲しい」と頼む。
その後弥生は、悠理と秋祭りで会っていた日には、悠理がこの世にはいなかったことを知る…。

「神様の嘘」

(作/保邑リュウジ)

歌手をやりながら、父親の借金を返すため夜の仕事もしている美玲は、ある日学生時代の友人の忠幸と出会う。流れで交際することになった忠幸から、仲間達との集まりがあるから来ないかと誘われた美玲は、実際に参加して、居心地の良さを感じ、また参加したいと言う。
実は忠幸は、ある教団の信徒で、信者を増やすために美玲に近付いていた。そして忠幸には、“神様が定めたパートナー”紗英がいた。
だが、徐々に忠幸は美玲の歌声に惹かれていき、自分の信仰や、やっていることに疑問を感じ始める。反対に、美玲はどんどん教団の信仰に引きつけられていく。紗英は、忠幸の微妙な変化に気付き、「彼女を女として落とすな」と釘をさす。
そして、美玲が自分の信仰心を信者達の前で告白するその日、忠幸は美玲を海岸に呼び出し、自分の美玲への思いを告げるのだった。

コメント

2021年11月の「ゆめいろリーディングvol.2」以来、約10ヶ月ぶりの朗読公演。純真舞台単独開催では初となる。この間は、東京のコロナ感染者は2つの大きな山を迎え、多くの舞台や朗読公演が延期・中止を余儀なくされていた。純真舞台もこの流れの中で、有観客の公演を行うことができず、ブランディングのためのラジオ(配信)ドラマの製作に徹した。
漸くコロナの第7波の終わりが見え始めたタイミングで、この朗読劇の上演が可能になった。様々な規制が緩み始めていたが、稽古場やライブハウス内では、ほぼ厳しい時のガイドラインで稽古や本番を行った。もし稽古の過程でコロナ陽性者を出したりしたら、元も子もなくなってしまうからだ。
今回は、どちらかというとこれまでも純真舞台の作品に出演してくれた役者さんが多かったが、これまでと違ったのは、若手の男性が2人参加してくれたことだ。このことによって、作品に奥行きを出すことができた。また、最年少は20歳になったばかりの小波来桜(ララ)ちゃん。大学の部活を舞台にした「オーバー・ザ・ウォール」の主役を違和感なく務めた。本番を原作者のよこはまさんがご覧になって、「感動しました」と仰っていた。
また、今回も劇中歌を多用したが、5曲中3曲はオリジナル(出演者の持ち歌)で、そのうち逢坂さんが歌った曲は初披露だった。「神様の嘘」のラストを飾る天音さんの「走りだそう」は、ライブのラストさながらに、手拍子を誘ってノリノリで歌われた。この天音さんの歌唱力を高く評価する声は大きかった。「Oriental Voice」冒頭の「オリエンタル・ヴォイス」は難曲で、後藤さんと逢坂さんはかなり苦労したようだ。
それぞれ毛色の違う作品が3つ並んだので、評価もそれぞれに割れたが、中には全体的に物足りないという感想もあった。前回「ゆめいろリーディングvol.2」が全体的に重めだったことから、その反動で少し軽く、見やすく(聞きやすく)してみたのだが、やはり批判は出た。今後の課題である。
出演者のうち、藤井さんは雨模様だった公演期間中の天気予報を逆転させ、青空が広がるまでにした「晴れ女」っぷりを存分に発揮したが、この公演で一時活動を休止することになった。
ビジネス系SNS・LinkedInの繋がりで当日物販スタッフをお願いした方がいらっしゃったり、純真舞台としては初めてチェキの販売を行ったりと、今回も様々な繋がりを生かしての公演だった。ツイキャスでの生配信・アーカイブ配信も行った。集客的にはやや苦しかったが、やってよかったと思う。

なお、この公演をもって、純真舞台の活動はいったん休止されることが決まっている。
「活動再開を待っている」と仰って下さるお客様がいらっしゃるのは心強い限りである。

ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
ゆめいろリーディングvol.2
(写真 ©松本和幸)